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2026-10-16 業務改革 バリューチェーン改革

生産計画とは何か?工場任せにしない考え方【第2回:立案ポイント編】

前回は、営業と工場の対立から始まり、生産計画はただの日程表ではないことを確認しました。また、日本企業に見られる計画ではなく進捗管理で済ませてしまう成り行き型管理への警鐘を踏まえ、生産計画の基本的な考え方を整理しました。今回は、生産計画の手法と、立案する際に押さえておきたいポイントを見ていきます。

生産計画の手法

生産計画は、対象期間や計画の粒度に応じて、大日程計画・中日程計画・小日程計画という階層で整理できます。大日程計画は、数か月から1年程度の期間を対象に、生産量や生産時期の大枠を決めるものです。中日程計画では、月単位や週単位など、もう少し具体的な期間で生産数量を割り振ります。さらに小日程計画では、日単位や時間単位に落とし込み、個々の設備や工程で何をどの順番に生産するかを決めていきます。ただし、階層を分ければ自然に計画がつながるわけではありません。月間の生産計画では対応できる数量であっても、特定の週に生産が集中すれば設備や人員が不足することがあります。月間の生産量を満たしていても、顧客が必要とする日に製品を届けられなければ、納期を守ったことにはなりません。それぞれの計画を個別に作るのではなく、上位の計画で決めた数量や時期が、下位の計画で実現できるかを確認しながら具体化していきます。

①大日程計画:需要と生産能力の整合を取る
大日程計画では、受注が確定している製品だけでなく、需要予測や顧客からの内示なども踏まえ、期間ごとの生産数量を考えます。例えば、翌月に1,000個の需要が見込まれていても、生産設備の能力が月間800個しかなければ、200個不足します。在庫で補うのか、前倒しで生産するのか、残業や外注によって能力を補うのか。こうした選択肢を、実際に生産が始まる前に検討しておく必要があります。需要の増加が一時的なものか、継続的なものかによっても対応は変わります。

②中日程計画:生産能力と負荷を踏まえて数量を割り振る
月間で1,000個を生産すると決めた場合、20営業日で均等に割れば1日当たり50個となります。しかし、製品ごとに加工時間が異なり、設備の点検や段取り替えも発生するため、毎日同じ数量を生産できるとは限りません。また、前工程に余力があっても、特定の加工設備に作業が集中すれば、そこで生産が滞ります。前工程で多くの製品を作っても、後工程が処理できなければ仕掛品が増えるだけです。設備や工程ごとの負荷を確認し、全体として無理のない生産日程を組み立てます。

③小日程計画:生産する順番を決める
小日程計画では、個々の設備や工程について、何をいつ、どの順番で生産するかを決めます。例えば、同じ設備で複数の製品を加工する場合、製品を切り替えるたびに金型や工具の交換などの段取り時間が発生します。同じ製品をまとめて生産すれば段取り時間を減らせますが、別の製品の納期が遅れたり、完成品在庫が増えたりする可能性もあります。納期、段取り時間、ロットサイズ、在庫の状況を踏まえ、生産順序を決めていきます。

生産計画立案のポイント

大日程・中日程・小日程の考え方を押さえたところで、実務上の立案ポイントを整理します。理論どおりに計画を組めない場面も多いからこそ、計画の前提となる情報や、生産方式の選択にも目を向ける必要があります。

1)受注生産と見込み生産を組み合わせる
受注生産は、顧客から注文を受けてから生産する方式です。完成品在庫を抑えやすい一方、受注後に材料の手配や製造を始めると、顧客が求める納期に間に合わないことがあります。これに対して見込み生産は、需要を予測してあらかじめ生産する方式です。短納期での出荷に対応しやすい反面、需要予測が外れると在庫が積み上がります。この二つは、必ずしもどちらか一方を選ぶものではありません。需要が比較的安定している標準品は見込み生産とし、仕様が個別に異なる製品は受注生産とする方法が考えられます。また、部品や共通工程までは見込みで準備し、顧客の注文を受けてから最終組立を行う方法もあります。さらに、工場の操業度という観点もあります。受注が少ない時期に設備や人員が遊休状態になれば、生産能力を十分に活用できません。需要の見通しや在庫水準を踏まえ、先行生産が可能な製品を組み合わせることで、繁閑の差をある程度吸収できる場合があります。ただし、操業度を維持すること自体が目的になると、売れる見込みの薄い製品まで作り、過剰在庫を抱えることになりかねません。販売見通しと在庫負担を確認しながら、生産方式を使い分ける必要があります。

2)営業部門と情報を共有し、需要を捉える
生産計画は、製造部門だけで作ればよいというものではありません。何をどれだけ販売するのかを判断し、顧客との交渉を通じて受注や納期を調整するのは営業部門です。製造部門は、その情報を基に、要求された納期や数量に対応できる生産方法を検討します。例えば、顧客から今後の発注予定や需要予測を事前に入手できれば、材料の手配や設備・人員の確保を前倒しで検討できます。受注が確定してから対応するよりも、準備に使える時間が増えるため、納期への対応力を高められます。一方、内示は正式受注と異なり、数量や納期が変更される可能性があります。そのため、直近の生産予定には確度の高い情報を使い、それより先の期間は内示や需要予測を基に準備を進めるなど、情報の確度に応じた運用が必要です。営業部門も、自分たちが提供する情報や受注判断が、生産結果や経営数字に影響することを認識しておく必要があります。急な納期変更や追加注文は、工場の段取り替えや残業、在庫の増加につながることがあるからです。営業と製造が互いの事情を理解し、必要に応じて顧客とも調整することで、実行可能な計画を組み立てやすくなります。

3)需要予測と在庫水準を適切に管理する
生産計画では、現在の在庫を正確に把握するだけでなく、今後の需要を予測し、適切な在庫水準を設定する必要があります。例えば、需要が1,000個と見込まれ、出荷に充てられる在庫が300個あれば、新たに生産する数量は残りの700個を基に考えます。ただし、需要予測には不確実性があり、生産や調達にも時間がかかるため、需要の変動やリードタイムを踏まえて安全在庫を確保することが重要です。一方、安全在庫が多すぎれば、保管コストや資金負担が増加します。こうした判断の前提として、帳簿上の在庫と実際の在庫を一致させ、仕掛品や入出庫の予定も正確に把握しておく必要があります。需要予測と在庫情報を組み合わせ、欠品と過剰在庫の双方を抑えることが、生産計画の精度向上につながります。

4)部品表を整備する
生産計画の精度を左右する情報として、部品表があります。部品表とは、製品を構成する部品や材料、その必要数量などを整理したものです。製品を生産するために何がどれだけ必要なのかを把握し、材料の手配や製造工程の計画を立てる際の基礎となります。例えば、製品1個に必要な部品の数量が誤って登録されていれば、製品の生産予定から算出する材料の必要数量も誤ったものになります。部品の構成自体が実際の製品と異なっていれば、必要な材料が揃わず、生産計画どおりに製造できないこともあります。そのため、部品表に登録されている品目や必要数量、計量単位、部品の構成などが正確であるかを確認しておく必要があります。新製品の投入や製品の改良・変更があった場合には、部品表にも速やかに反映しなければなりません。変更が現場やシステムに反映されるまでに時間がかかれば、その間に作成される生産計画や材料の手配にも影響が及びます。部品表は単なる管理用の一覧ではなく、製造や購買に関わる技術情報の基礎です。内容の正確性に加え、変更が発生した際に適切な手続きを通じて迅速に更新できる仕組みも、計画精度を支える要素になります。

5)複数の生産計画手法を組み合わせる
生産計画には、必要な部品や材料を算出する資材所要量計画(MRP)、設備や工程ごとの負荷を確認する方法、個々の作業順序を決めるスケジューリングなど、さまざまな手法があります。MRPで必要な材料と手配時期を算出しても、設備の能力を超える生産量が割り当てられていれば、計画どおりには生産できません。また、設備能力に収まる計画を立てても、生産順序によって段取り時間が増えれば、想定した生産量を確保できない場合があります。それぞれの手法が扱う問題は異なります。材料の手配、工程の負荷、生産順序を一つの方法だけで解決しようとするのではなく、自社の生産形態や課題に応じて組み合わせることが現実的です。ただし、どれほど計算方法を工夫しても、需要予測や在庫、部品表、生産能力の情報が実態と合っていなければ、計画の精度は上がりません。手法の選択と併せて、計画の基礎となる情報を整備していく必要があります。

最後に

今回は、生産計画の手法と立案時のポイントを整理しました。大日程・中日程・小日程という階層的な考え方に加え、受注と見込み生産の使い分け、営業との情報共有、在庫や部品表の整備など、計画の精度を左右する要素は多岐にわたります。システムを導入すれば、生産計画が自動的にうまく機能するわけではありません。需要や生産能力などの制約を踏まえ、何を優先するかを決め、実態に合わせて計画と運用を見直していく必要があります。日々の業務に追われていると、計画を立てること自体が目的になりがちです。一度立ち止まり、自社の生産計画がどのような前提で作られ、現場で実行できるものになっているかを見直してみてはいかがでしょうか。

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