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2026-7-10 経営管理 KPIと運用

KPIに正解はない 状況によって変わる6つの理由

「おすすめのKPIを教えてください。」このような質問をいただくことがあります。しかし、私はいつも「その問いだけでは答えられません」とお伝えします。なぜなら、KPIには唯一の正解がないからです。KPIとは、企業や組織の急所を数値化したものです。急所が違えば、追うべき数字も変わります。それにもかかわらず、他社のKPIをそのまま真似したり、全社で一律のKPIを設定したりすると、本来改善すべきポイントを見失い、期待した成果につながらないことがあります。では、どのような状況でKPIは変わるのでしょうか。今回は、代表的な6つのケースをご紹介します。

①企業によって変わる

同じ製造業でも、

〇高付加価値製品で利益を出す会社、大量生産で利益を出す会社

では、見るべき指標は異なります。前者なら品質や技術力、後者なら生産性や稼働率が重要になるでしょう。製造業だからこのKPIという正解はありません。企業の戦略が違えば、KPIも変わります。

②拠点によって変わる

同じ企業でも、例えば製造業における工場ごとに課題は異なります。例えば、

A工場:設備が老朽化しており故障が多い
B工場:人手不足で残業が多い
C工場:歩留まりが悪い

勿論工場全体の収益という意味では同じですが、それを達成するために追うべきKPIは異なります。全工場で同じKPIを並べるだけでは、本当の課題は見えてきません。

③同じ部署でもチームによって変わる

営業部でも、新規開拓チームと既存顧客担当チームでは役割が違います。

新規開拓なら

〇商談件数、提案件数、初回訪問数

既存営業なら

〇リピート率、解約率、顧客生涯価値

の方が重要になるかもしれません。部署名だけでKPIを統一すると、行動が歪む可能性があります。但し、チームが多くてそれぞれにKPIを設定すると収拾がつかない場合は、ある程度の塊で適用するなどの柔軟性が必要な場合もあります。

④市場の成熟度によって変わる

市場環境が変われば、経営課題も変わります。例えば、

成長市場

〇顧客獲得、市場シェア拡大、生産能力確保

など市場の開拓のための指標が重要になります。一方、

成熟市場

〇利益率、在庫回転、顧客維持、原価改善

など収益力を高める/効率を上げる項目が重要になります。

同じ企業でも、10年前と現在では市場環境も変化していくため、求められるKPIが変わるのは当然です。現在のKPIが将来にわたって通用するか、という視点もあります。

⑤企業の成長段階によって変わる

創業間もない会社と、売上100億円規模の会社では課題が異なります。

創業期は、

〇新規顧客開拓数、キャッシュフロー、バーンレート

など生き残るための項目が重要です。

一方、100億円規模の企業では、

〇組織生産性、人材育成、定着率、利益率、業務の標準化

など組織としてのマネジメントの項目が重要になります。

企業のライフステージに応じて、重要となる急所も変わってくるため、KPIも進化させていく必要があります。

⑥改善テーマによって変わる

同じ製造業の工場でも、原価改善がテーマなら、

〇材料歩留、段取り時間、稼働率

を見るかもしれません。

一方、納期改善がテーマなら、

〇総リードタイム、工程滞留時間、納期遵守率

などが重要になります。

目的が違えば、同じ製造業の工場間でも追うべき数字も変わります。

最後に

KPIは、唯一絶対の優れた指標を探すものではありません。重要なのは、自社や自組織にとって今どこが急所なのかを見極め、その急所を数値化することです。そのため、他社で成果を上げたKPIや、業界で一般的とされるKPIをそのまま導入しても、自社の成果につながるとは限りません。まず考えるべきなのは、どの数字を追うかではなく、何が業績を左右する急所なのかです。急所が変われば、追うべきKPIも変わります。企業の成長や市場環境、組織の課題に合わせてKPIを見直していくことが、成果につながるマネジメントの第一歩です。良いKPIとは、一般的に優れたKPIではありません。自社の急所を最も正確に映し出すKPIです。

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