全く新しい商売か既存の焼き増し商売か

新規事業を興すぞ、となったときに一度は考えたことのある問いではないでしょうか。全く新しい商売にするか、既存の焼き増し商売にするかどうしようか、と。これは独立して起業する方であっても、大企業の新規事業立ち上げの部門でも同じです。どれだけの資金を投入できるか、及びリスクをどれだけ許容するか、などの状況にもよりますが、基本的には新規で事業を興すならば、世の中に一般的にある事業を模倣した焼き増しの商売がオススメです。

世の中で生き残った一般的な商売であるならば、人々に認められて需要が確実に存在します。確かに一般的であればあるほど(飲食や小売、士業など)競合は多く競争は厳しいです。しかし商圏やサービスの幅を絞れば大儲けはできないかもしれませんが、そこそこの売上を立てることはできます。そこでリスクを減らして軌道に乗せることが重要です。そしてメインの商売でキャッシュがある程度溜まった段階で、現在の事業を少しづつシフトして需要がある商売に新規性をプラスして差別化するのが理想です。

私が世界で最初にこの商売を始めるんだ!世の中に既にある商売ではつまらない!という意気込みを持って、最初の段階で全く新しい商売を興したとしましょう。そうすると、絶対に失敗します、とは言えませんが高確率で失敗します。なぜなら新規性が強すぎると世の中の人がその商売のサービス/商品を買って使って得するイメージが湧かず、そもそも需要が存在しない/喚起されないという状況に陥りがちだからです。(勿論iPhoneのように潜在的な需要を世に顕現させるという稀有な例はあるかもしれませんが)

さて、追加で付け加えるとするならば、新規事業を興す際に行って頂きたいのが、NGゾーンを作る、です。既存の一般的な商売を模倣する、というのは前提として、もう少し具体的に何の商売を行うかを決めていきます。(先ほど申し上げた商圏やサービスの幅を絞るところと似ています)但し、何をやるかを自由に発想しろ、と言われても難しいので、除外する対象を挙げていきます。こちらの方が簡単だからです。例えば、年齢が60歳以上は除く、関東圏以外は除く、ECサイトは除く、自社で製造はしない、といった具合です。範囲や対象、条件を挙げて制限していくイメージです。ここまでくると大分絞られてきます。

さて纏めると、以下のような順番が望ましいと考えます。潤沢に資金がある大企業であれば③④から始めるのもアリかもしれません。

①既存の焼き増しの商売×NGゾーンで限定した上で新規事業を立ち上げる
②キャッシュを生み出し蓄える
③商売の軸を少しズラして差異化する
④差異化という新規性をプラスして拡大する