ビジネスデューデリジェンスの目的と意味合い

デューデリジェンス、というと最近M&Aの話題で聞いたことのあるけど改めてどういう意味か聞かれるとわからない、という方もおられるかと思います。そこで、デューデリジェンスの意味合いと、その中で「ビジネス」と頭につく場合何が違うのかを扱っていきたいと思います。

まず、デューデリジェンスを定義すると、

取引の当事者(買い手/再生支援者)が、対象企業の経営状況を調査すること
M&Aならば事業価値と将来性/リスクの評価
事業再生ならば窮境要因の発見と再生の可能性の検証

です。

英語にするとDue Diligenceで、Due(当然行うべき)Diligence(勤勉/努力)となります。正に取引の前に、対象企業を調査することは、当然に行うべき勤勉さ/努力、ということです。以下DDと略します。DDは、取引における不可欠のプロセスになります。

意味あいがわかったところで、DDの目的を述べてみます。

取引(M&A/事業再生)を実施するか否かの意思決定のため

これは当事者の状況(取引によって何を達成するか)によって目的が分かれるため、上記より解像度の高い目的は状況によります。この目的が不明瞭な状態でDDを実施して取引をすると、たいてい良い結果にはつながりません。

具体的な目的は、一言でいうと以下になります。

M&A 資本、顧客、技術、設備、組織、事業を一から作り上げる時間を買う
事業再生 対象企業を通常業績の企業に再生させる

逆に言えば、必ずしも取引を行わなくても、事業提携や外部知見者の知恵を借りる、赤字先を即取り止めることで十分に戦略が達成できる場合も少なくないです。そのため、闇雲に取引、それに伴うDDをすることはオススメできません。

さて、DDの頭につく言葉によってDDの中身が異なることも見ていきます。全てが取引の意思決定に資することですが、領域の違いを示しています。
・財務DD・・・財務諸表や税務情報を分析
・法務DD・・・契約や訴訟など法的側面を分析
・ビジネスDD・・・事業や業績構造から将来性を分析
・人事DD・・・組織や人材を分析
・ITDD・・・ITシステムを分析

財務DDは公認会計士や税理士、法務DDは弁護士、人事DDは社労士、と士業の専門家が請け負うことが多いです。ビジネスDDは、どちらかというと自由度が高い分析が中心になるため、戦略/経営/業務コンサルタントが担うことが多いです。また再生局面では、十分な予算が取れないことが多いため、財務DD+α程度しか行わないこともあります。(弊社は士業ではないため、ビジネスDDのみを行います、勿論他のDD分野との連携もあります)

まずはビジネスデューデリジェンスとはなにか、という基本的なところを押さえてみました。
特に中身の話に注目が集まりますが、取引の目的を明確にしてDDを行うことが最も大事な点であることは留意頂きたいです。