かつ丼食えば試合で勝てる??KPIのお話
今までKPIの堅い話が多かったので、今回は少し柔らかい話。企業の業績向上に向けては、売上と利益は最も重要な要素であることは間違いないと言えます。しかし、だからといって売上を追いかけるべき日々のKPIとして設定すると、悲劇が起こります。売上を追っても、売上は上がらないからです。
わかりやすくするために違う側面から捉えてみます。例えば、スポーツの試合で勝つ、勉強で良い学校に合格する、という話になったとします。スポーツで勝つことを目標とした場合に、監督の立場から選手に向かって、勝つために、勝てよ!というアドバイスはしないと思います。もう何を言っているのかわからなくなってきますね。勉強の場合はどうでしょうか。勉強で良い学校に入ることを目標とした場合に、教師から生徒に向かって、合格するために合格しろよ!というアドバイスはしませんね。
この場合、試合で勝つ、や合格するの手前のアクションに言及して伝えることが多いはずです。
・試合で勝つために、かつ丼食えよ!
・試合で勝つために、筋トレしろよ!
・試合で勝つために、素振りしろよ!
・合格するために、英単語覚えろよ!
・合格するために、早く寝ろよ!
・合格するために、1日8時間勉強しろよ!
上記からもわかるように、XXXしろよ!のところが3つの条件を満たしています。
①ゴールに到達する前のプロセスに着目している
②前のプロセスとゴールに因果関係がある(因果が完全に証明できなくてもそれなりの納得感がある)
③中間のゴールではなく、具体的な行動となっている
※かつ丼食えよ!は②を満たしていない可能性があります。かつ丼食っても試合で勝てないでしょ、という。(かつ丼と試合で勝つことへの因果の納得感が低い)
3つの条件を満たしていないと、おかしなことになります。
・試合で勝つために、1点獲れよ!
・合格するために、模試でA判定獲れよ!
上記は、③の条件を満たしていないために、新たなゴールが中間で出来てしまっています。そうすると、試合で勝つために1点獲るのはわかったけど、その1点はどうやって獲るんだ?となってしまいます。また、合格するために模試でA判定獲るのはわかったけど、そのA判定はどうやって獲るんだ?となってしまいます。
最初の話に戻ると、売上を上げないといけないから、売上を上げろよ!というのは意味不明な言葉であることがわかると思います。売上自体を追いかけていなくても、中間のゴールを設定しているだけ、ということもあります。例えば、接客件数、新規訪問数を増やせ!というもの。前述の①と②は満たしていそうですが、③は満たしてなさそうです。接客件数/新規訪問数を増やせば売上アップに繋がりそうな気はするが、接客件数/新規訪問数はどうやって増やせばいいんだ?となります。(この辺りをどうKPIに落とすかはまた次回以降の話)
今回は身近な例でKPIを捉えてみました。かつ丼食べて試合に勝ちましょう。