KPIによる意思決定
昨今、BIツールやノーコードツールが発展してきたせいか、データ分析や可視化が流行しています。ややもすると、取り合えずツールを導入して可視化すれば何かが解決する、と短絡的に考えてしまいがちです。ビジネスの事象を定量化してKPIで捉えた後が大事なのです。KPIで補足した後の意思決定です。KPIがXXだからこうする、KPIがXXだからやめる、といった意思決定の視点で考えないといけません。今回はKPIを使った意思決定はどのようなものがあるのか、を考えてみたいと思います。
KPIと意思決定の種類は大きく分けて3種類ほどあると考えます。
①現状の判断
例えばマーケティング施策を実施し、販売額=KPIが、
1)目標に到達する:施策を継続する意思決定を行う
2)目標を下回る:施策を取り止める意思決定を行う
3)目標を早期に達成する:追加の施策を取り止める意思決定を行う
現状の状況が計画通りか、未達なのかを把握することで施策の継続や見直しを判断するケースです。
目標と実績を比較してモニタリングする意味合いになります。
②絞り込みと集中
例えば複数の店舗で同時並行で資源を振り分けて実施している場合に、各店舗の来店人数=KPIが、
1)来店数が多い店舗に人員を多く振り分ける
2)来店数が少ない店舗から人員を異動させる
3)来店数が同程度なら様子見をする
複数の施策を実施している場合に、より効果の高い施策に絞り込んで資源を配分する判断をするケースです。お金や人員、時間などの資源は限られていますので、配分の適正化に繋げる意味合いになります。
③新たな方向性/戦略の立案
例えば売れ筋の商品を分析し、共通項を探して新たにそれらをKPIとして設定し、
1)共通項の増加が売れ筋の売上増に繋がる場合に共通項を増やす
2)共通項の減少が売れ筋の売上増に繋がる場合に共通項を減らす
3)共通項と売れ筋に関係が無いならば他の共通項を探す
売れ筋商品などの共通項や課題を探索的に発見し、新たな方向性/戦略を立案する、という判断をするケースです。KPIを更に深堀する、という意味で①と②よりもビジネスの洞察や状況に依っては統計的な分析が必要になってきます。
このように、KPIを取得して適切な意思決定をするのが本来のKPIマネジメントになります。データを可視化して分析にかければ何か凄い知見や秘策が勝手に生まれてくるわけではない、ということです。