2024年版に引き続き、2025年版を読んでいきたいと思います。今年の白書は31Pで構成されております。
注目する箇所に焦点を絞って取り上げたいと思います。一部資料にない追加情報のコメントも加えています。
■2025年版ものづくり白書の概要① p13
・事業環境の複雑性が高まる中で、製造事業者の稼ぐ力の向上に資するDXは引き続き重要な取り組み
・個社単位のデジタル化は図れているものの、企業間や横断の効率や付加価値向上が求められている
・サプライチェーン強靭化に向けてデータ連携・利活用も注目されている
・経済安全保障にも触れているが、米中間の貿易戦争、ロシア・ウクライナ戦争の長期化、中東情勢など地政学的リスクがあり安定的な調達・生産(サプライチェーンの維持)に懸念

■製造業の競争力強化に向けたDX<事例②> p19
・人手不足に直面する中で、ロボットが導入されてこなかった少量多品種へのロボット導入の重要性について示唆
・ティーチングコスト(プログラミング負担)や初期投資コストがネックとなり、少量多品種の製造の段取り替えや柔軟な判断が難しかった
・伝統的な判断・処理が限定的な領域では既にロボットは導入されてきている
・多様なロボット開発にはオープンな開発基盤の構築とロボットの自律性を高めるデータとAI開発が必要
・現場のリアルタイムな状況をデジタルツインで把握することで、ロボットの最適な配置や作業手順を決定できる

■ものづくり人材の能力開発の現状 p22
・製造業における能力開発や人材育成に関する問題点のトップは、”指導する人材が不足している”、で65.9%
・団塊世代(特に再雇用者)の退職による技術・ノウハウの空洞化、加えて「見て覚える」という教育手法が根付いてきた結果、技能承継が進んでいない

■2024年版と2025年版の違い
・2024年版は、CXによる組織経営の仕組化×DXによる製造機能の全体最適化、ビジネスモデルの変革に言及
・2025年版は、事業環境の不確実性から産業競争力・脱炭素・経済安全保障の複合的なリスク対応を捉える動きに
・特に2025年版は、地政学リスクの増大から、経済安全保障の取組みに紙幅を割いている(中小企業であっても、部品・部材の供給途絶リスクがある)
以上、ものづくり白書2025年版を読んでみました。