購入費用引き下げに向けた買い方技術
今回は、企業で材料やサービス役務を購入したりする際に、お互いにwin-winで購入価格を引き下げていく「買い方」の基本的な技術を扱ってみます。購入先(=ベンダー)に対して、とにかく安くしてくれ、と交渉するのもひとつの技術ではあります。但し、こうした根拠のないお願いは、立場の弱いベンダー側が疲弊してしまうため、避けたい方法ではあります。直近では、過度な引き下げ要求は下請法などで禁止されています。お互いが長期的に繁栄するためには納得感のある交渉をすべきだと考えます。そこで、4つの基本的な買い方技術を紹介します。
①複数のベンダーで相見積もりを取る
最も一般的な方法で思いつくものです。複数社で見積もりを取ると、比較ができます。ココは高い、アソコは安い。費用だけでベンダーを決めるわけではないですが、他の企業はXX円だけど、貴社はどう?といった単なるお願い営業よりは一段階高い交渉が可能となります。基本的な事のように思えますが、過去ずっと同じ1社の取引先から惰性で購入していると、案外相見積もりを取るという発想が薄れていることもあります。他のポイントとして、購入する品目やサービスの相場観がわからないほど、見積もりを取るベンダーを増やすこと、があります。増やすといっても増えすぎると比較や管理、交渉などが手間になるため、最大5社程度が望ましいです。
②費用を項目で細分化する
これは複数社で相見積もりを取っていても意外に抜けがちな技術です。ベンダーから見積もりをもらうと、XXX一式100円、と記載があったりします。これでは何の費用がどういう構成で、何が高い/低いのかが不明です。そこで、XXX一式ではなく、PC費XX円、工事費XXX円、サーバー費XXX円といったように内訳をなるべく分解してもらって見積を出してもらいます。こうすることで、①との相乗効果で比較の解像度が上がります。A社の工事費とB社の工事費、と細かい粒度での比較検討が可能になります。あまりに細かい項目を要求するとベンダー側も嫌がってしまうので、ほどほどにお願いしましょう。
③予算を敢えて伝えない/幅で伝える
購入を検討する際に、ベンダー側からよく質問を受けると思いますが、予算の上限はいくらですか?というもの。予算のイメージがお互い合うことで、的外れな金額の提案や見積もりがくることが少なくなります。ただ、複数のベンダーを比較しようとしたときに、費用が全て一緒だと費用面での比較が一段階難しくなります。表面的にはどのベンダーも同じ金額になるからです。内容の精査をして高い/安いの比較をする必要があるため、敢えて予算を伝えなかったり、ある程度の幅を持って伝えることで、見積額のベンダー間の比較を容易にするという技術です。
④求める機能で要・不要を決める
簡単に言うと、要らないものはできるだけ購入しない、ということです。売る側の立場からすると、範囲を広く種類を多く買ってほしいと思うものです。それもこれが普通です、と売り込まれたりします。情報の差が激しい取引だと尚更。車にはカーナビも普通つけますよ、スマホには破損保険をつけないと怖いですよ、webサイト構築にはSEOもセットが効果的です、といった具合に。また、美容院でのカットには必ず洗髪もあり、洗髪だけ外すことはできないと聞いたが、私は洗髪は不要でその分安くしてくれ、といった一式の流れを敢えて分解して交渉するといったこともよいかもしれません。纏めると、本当に必要であればよいのですが、達成したいゴールに対して本当に必要なのか/内製化してできないか、といった視点で改めて見ることで、求める機能以上の余計な出費を抑えることができます。
基本的な買い方の技術として4つご紹介しました。企業での購買担当や外部業者に依頼する立場の人以外でも役に立つ考え方ではないかと思います。