規模/利益と生き残りの関係
売上の規模の大小と利益率によって、その企業の生き残りがどうなるのかを見てみましょう。
企業の規模が大きくなればなるほど、それに比例して利益も多くなって生き残りもできそうなイメージがなんとなくあります。しかし薄利多売の場合、自転車操業が続いて規模が大きくなっても競争が激しくなって生き残れ無さそう、、といった感覚もでてきます。個人商店のときは気にしないが、大規模になると多大な設備投資が必要で大変そう、といった感想もありそうです。
では実際のところどうなのか。科学/統計的に証明されたわけではないですが、ある種の法則として観察できるため紹介します。
以下のイメージグラフをご覧ください。
規模(売上)を横軸に、利益率を縦軸に取ります。丸の大きさは企業の数を示しています。
このグラフから読み取れるのは、
・小規模の場合、利益も多く確保できて企業数も多い(=①)
・中規模の場合、利益は減少し、企業数は少なくなる(=②)
・中規模以上の場合、利益は増加し、企業数もそれなりに多くなる(=③)
単純に規模が大きくなればなるほど利益率も大きくなるわけではない、ということですね。
そして中規模で利益率が下がると企業数が少なくなる点は注目ポイントです。
このグラフには以下の仮説が考えられます。
①は、個人商店で独自の付加価値をつけた商品を販売できるも、少量しか生み出せない状況。日本では中小企業が圧倒的に多く、このゾーンの企業が多い。②は、規模がある程度大きくなると、設備の費用負荷や人員教育、管理コストなどが一気に生じ、それを吸収できずに利益率が悪くなる=撤退する企業が多い、と考えられます。③は、②で生じたコストなどを薄められるほど規模が大きくなる、組織として体制が整ってくる、標準化が進むため利益率が高まる、と考えられます。この状態まで大きくなる企業数はそこまで多くありません。
こう考えると、②のいわゆる死の谷に嵌っている場合、取るべき選択肢は、規模を縮小して①に戻るか、リスクを取って規模を拡大して②に進出していくか、となります。
飲食チェーンだと②のゾーンは売上200-500億程度と言われます。市場縮小して企業の寡占化が進んでいるある製造業の業界では、売上5-30億円程度が②と予想されたケースもあります。