経営コンサル業の価値とは

経営コンサルタントやってます、というと何だか怪しげな商売をしてそうに聞こえます。最近ではかなり市民権を得てきたため、怪しげな商売と言われることも少なくなってきました。それでも依頼したことが無い方からすると、実際何をやってくれるんだろう?どんないいことがああるのだろう?と疑問に思う方も少なくないはずです。そこで今回は、経営コンサル業の価値とは何か?ということに焦点を当てたいと思います。

経営コンサル業が支援企業先に為すべき価値とは、前提と価値でそれぞれ2つづつあると思っています。

まず前提です。基本的な点として、支援企業独自のオーダーメイドである点は欠かせません。不特定多数の人に通ずるパッケージ商品を売るわけではない、ということです。(部分的な知見、資料フォーマットなどは共通しているところはあります)そのため過去の知見(フレームワークやXX業界の事情など)を流用するだけではダメで、支援企業に寄り添って解像度を上げて個別要素に従った解決策を考える、が毎回常に求められます。とはいえ、知識量に差がある分野だと、専門知識の提供のみで価値が出るケースもあります。

そして、能動的な提言を行う点もポイントです。これはスタンスを取る、という言い方をしてもよいかもしれません。AかBかの選択肢があるとき、AもBもあります、ではコンサル失格です。過去のXXと御社のXX状況を踏まえるとBが望ましいです、とスタンスを取って提言をすることが求められます。別の状況では、その場合であればXXしたほうがよいのでは?だったり、その方針には反対です、といったコンサル側からの積極的な提言をすることも含まれます。さて、明日の降水確率が30%のとき、支援企業先に対して傘は必要or傘は不要、どちらをあなたは提言しますか?

次に価値です。経営コンサルタントに支援を依頼することは企業側からするとある意味で投資、なわけです。そうすると直接的には企業業績を向上させることが最も大きな価値(=投資の見返り)になります。業績とは、売上を増加させる、費用を減少させる、効率化を図る、お金を増加させる/節約する、といった側面です。この価値は比較的わかりやすいものです。わかりやすい反面、確実に業績を向上させるのは不確定な要素も多く、市場環境に左右されたり、支援企業の協力が必要な局面があります。どんなに凄い塾講師でも全員東大に合格させることは難しいのと似ています。

そして、上記の価値と比べてわかりづらいですが、意思決定の質を向上させる、も重要です。具体的にどういうことかというと、XX設備を投資すべきかどうか、XX業務を廃止してよいかどうか、この数値計画は妥当性があるか、といったいくつかの状況で勘と経験で意思決定するのではなく、客観的な情報や体系的な理論を元に根拠を厚くすることで質を向上させることです。企業経営で最も難しいことは成果が出るかどうかわからないような曖昧な事象に対して意思決定の決断をすることです。この意思決定を容易にすることが価値です。

以上、経営コンサル業が支援企業に為すべき価値について触れてみました。この価値を出せるように日々精進しております。一方で、支援企業を喜ばす/満足させることができれば、(乱暴ですが)列挙した前提と価値を押さえる必要は無い、とも言えます。経営コンサル業は究極的にはサービス業/接客業であり、お客を喜ばしてなんぼ、の世界だからです。