組織の人数が企業の活動に影響する(ダンバー数)
企業の業績を上げるには何が重要か?市場シェア、競争優位性、技術力、優秀な人材、ブランドetc。世の中に色々と必要な要素はあります。どれも確かに重要です。しかし、あまり意識されていないけれども実は重要である、組織の規模/人数にフォーカスを当てます。組織の人数が、企業活動に影響するのです。組織の人数が業績に影響する、の意味合いがよくわからないと思われる方もいると思います。しかし組織が少人数か大人数かによって景色が一変することになります。
結論から述べると、組織が機能する上限規模は150人程度である、です。
この150人という数字を「ダンバー数」といい、1人の人がある時点で人間らしい関係を維持できる人数の上限とされています。規模の大きさで組織が機能するのかどうか、という問いは、確かに大規模な組織だと顔が見えない人も多いし意思疎通が難しいよな、と感じるこがあると思います。一方で、10人程度の組織なら意思疎通はラクで円滑に進みやすいけど分業による効率化が進めづらいいよな、と。確かに組織の規模が業績に影響しそうな気がします。そうすると丁度よい組織の規模ってどれぐらいなんだろう、という疑問が湧くと思います。それが150人です。150人が最適、というわけではないですが、分業の効果を推し進めつつ、多数の人との関係に配慮して行う意思疎通もギリギリ図れるのがこの人数、という意味です。これ以上大きくなると組織の縦割りによる分断やコミュニケーションが普通で非効率が起こります。
類人猿から現在のヒトに近いホモ・サピエンスに分岐したのがおよそ800万年前、ここから定住する4000年前の段階まではヒトはわずか30人から50人の小さな集団で暮らしていました。この人類の長い歴史からすると、ヒトの行動論理が適応しているのは小集団であって、現代の学校や企業の大きな組織とは適用できないのです。150人を超えない限りでは、全員の顔と名前が一致して、対面の対話によって物事が民主的に解決できる状態で、それを超えると集団が不安定になり、情報の流れが悪くなり、派閥や縄張りが生まれ、不安定になります。現代では千人を超える組織も珍しくありません。しかしその規模になると、集団が不安定になり業績にマイナスの影響が出てしまいます。(但し範囲や規模の経済の正の影響と組織規模の大きさによる負の影響の定量的な比較は現状できないですが)
そのため、成長するには小規模なままでいるのが最善の道、というのが導かれます。150人以上の組織を作ると、熱意や目的意識、責任が薄れ、官僚的な体質に近づきます。150人以上の組織を作る場合は、分割するのがよいと考えられます。あるロンドンの大学教授の研究結果によると、1世紀以上続いた企業とそうでない企業の違いは、企業の規模である、とあります。存続した企業は小規模で、正社員が300人未満だったそうです。この研究結果も踏まえると、企業規模がいかに活動に影響するかがわかりますね。
タスクの遂行についても、規模が影響します。素早い意思決定を行う場合は5人まで。5人までなら特別なリーダーがいらず、全員が平等で頻繁に話し合うため他のメンバーが何を考えているかが自明で円滑に進みます。6-15人程度だと複雑な意思決定に向きます。進行役が必要で、役割分担や業務プロセスが必要になってきます。このように規模に応じてタスクをどう設計するかも影響します。
いかがだったでしょうか。組織の人数がいかに企業の活動に影響するかがご理解頂けたかと思います。この考え方に従い、弊社ではメンバーの幸福感や充実度が高い状態で業務に着手してもらいたいため、自社の人数を意図的に増やさないようにしています。