知識を伝授して指導するだけが経営コンサルではない

「経営コンサルタントです」と自己紹介すると、大抵の方のイメージは、先生業なんですね、とか何を教えてるんですか?、になります。昔ながらの知識を伝授して指導する経営コンサルタント像です。数十年前までは、この認識で良かったと思います。いわゆる、相手と自分との知識差を利用して商売をする形。経営コンサルに限らず、世の中の商売はその形態をとるものも多いです。例えばスマホを新しく買いにいくとき、キャリアの店員さんと自分とでは知識量に差があるので、スマホ代とともにその知識(料金プラン、性能など)に対価を払っている側面があるはずです。特に経営コンサルはサービス業で物理的なモノは一切介在しないので知識業のイメージが強いです。

しかし、情報革命が起きて書籍やネット、最近では生成AIの登場で、お客様である相手と経営コンサル側の知識量の差が埋まってきています。まだまだ活字やデータになっていない領域があるため差が埋まっていない部分はありますが。そういう状況の中で、経営コンサルの価値も変化してきています。変化した結果、知識提供以外にどういう業務に価値が見いだされるようになってきたか、を列挙していきます。

①業務の代行

これは経営コンサルタントの仕事ではない、と思われる方も多いと思います。しかし企業の中で正社員を抱えるよりも、一定期間だけ外注の有能な方をレンタルし、社内の業務を素早くこなしてほしい、というニーズがあります。そもそも人手不足で正社員を雇いにくくなっている中で、短時間だけでも支援してくれるのは費用の観点からも魅力的です。この場合、抽象的なふんわりとした戦略立案を頼みたい、ではなく、やるべきことはわかっている(バックオフィスの強化、SEO施策の導入、新規開拓の営業など)のだが、人が足りなくて進まない、といった状況を指します。更にプロの方であれば新卒で新しく正社員を雇うよりも投資対効果が高く、達成までの時間を短期化してくれます。②の内容も重複してきます。

②業務推進のマネジメント

2人以上の人が集まるとマネジメントが発生します。そのため、何か組織で物事を進めようとするとき、必ずマネジメントが必要になってきます。マネジメントとは、業務の進捗管理、目標の設定、スケジュール設定、期日管理、会議設計などがありますが、ざっくりいうと組織で成果を上げるために個人の業務以外で発生する一段階抽象的な視野で必要なこと、でしょうか。このマネジメントというのは企業などの組織の中で体系的に学ぶことが少なく、マーケティングや財務などの専門分野に匹敵するほどの習得難易度があります。人と接する分野なので、より難易度は高いです。そのため、プロの経営コンサルタントに外注してやってもらいたい、というニーズがあります。外部の第3者の目で客観的に見てもらう、という意味の価値もあります。

③議論の整理と図解化

最後に、議論の整理と図解化を挙げます。この③が知識の提供以外で最も価値がわかりにくいものだと思います。しかし状況によっては①②以上に価値を生み出すこともあります。例えば、社内で会議をしたとします。メンバーが色々と口頭で意見を発言しました。ただ、会議終了後に文章として残っていないので何が決まったのか、どういう内容の話があったか、宿題は?などが参加メンバーにすぐわかる状態になっていません。それを文章で整理することで関係者の認識を一致させます。ここは直接的なニーズがあるというよりかは、言われてみると必要だよね、やらなきゃ、といった潜在的なものになります。また、なにか複雑な物事を議論するときに、図で表現されたものがないと、関係性や構造を理解して議論や認識の一致ができません。こちらも図解することで正確に物事を捉えた上で議論しなきゃまずいよね、という潜在的なニーズになります。例えば、代理店、自社、仕入れ先の付加価値はどのようになっているか、製造のバリューチェーンはどのような姿か、業務の処理は何から始まって何で終わるのか、などは図解化しないと議論が難しいです。

ニーズが顕在化している順に並べると、①業務の代行→②業務推進のマネジメント→③議論の整理と図解化、になります。お客様である相手が価値を感じるのは、状況によるので何とも言えないのですが、顕在化したときの爆発力でいえば③になります。弊社は③の図解化に強みを持っています。

経営コンサルタントって知識を伝授して指導するだけじゃないんだな、というのが理解頂けたのかな、と思います。