生成AIは日進月歩で進化しており、企業で働くビジネスマンにとっても活用が重要なテーマになっています。では、日本企業では実際にどの程度活用が進んでいるのか。また、どのような課題に直面しているのか。本稿では、PwCが公表した実態調査レポートをもとに、日本企業の現状を読み解いていきます。175ページに及ぶ大部のレポートのため、特に示唆が大きいと感じた箇所を取り上げ、図の内容を整理したうえで所感を述べます。なお、本レポートは5か国比較を含みますが、本稿では日本に焦点を当てます。
本稿で扱う図は、以下の調査レポートから引用しております
https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/2025/assets/pdf/generative-ai-survey2025.pdf
■調査レポート概要
・売上500億円以上の企業に勤務する課長以上の方を対象
・日本における生成AIの導入とその効果の実態
・日本企業が直面する構造的な課題を浮き彫りに
・効果創出の企業に共通の成功要因の抽出と、現状を打破し変革を実現するための具体的な示唆の提示
■調査レポートのサマリ
・日本企業は生成AIの効率化や変革の可能性を認識しながらも他国に比べてその効果を十分に引き出せていない
・日本の生成AIの効果が他国に見劣りするのは、生成AIがツールとしての活用にとどまっているためである
・日本企業は、生成AIを効率化ではなく変革と再定義し、高い目標、革新文化の情勢、ビジネスモデルの再構築に取組む必要がある
■示唆が大きいと感じた箇所と所感

生成AIの活用における最大の課題として、「進め方が分からない」「必要なスキルを持つ人材がいない」が上位に挙がっています。つまり、多くの企業が生成AIの有効性自体は認識しているものの、具体的にどの業務でどう使うのかという実務レベルのイメージを持てていない状況が読み取れます。生成AIはツールの種類も多く、用途も幅広いため、触ってはみたものの業務への組み込み方が分からず、結果として「現状維持」になってしまうケースも少なくないのではないでしょうか。

この結果からは、生成AIを単なるツールとして導入するだけでは、期待を上回る効果は出にくいことが分かります。一方で、業務の進め方そのものを見直す前提で取り組んでいる企業では、効果が大きくなる傾向があります。例えば、「困ったときにAIで調べる」という使い方と、「情報収集はAIを前提に設計し、プロンプトや検証方法まで標準化する」という使い方では、業務プロセスの設計思想がまったく異なります。生成AIの効果の差は、ツールの性能よりも、業務への組み込み方の差によって生まれていると考えられます。

生成AIによって業務がどの程度置き換わるかという問いに対しても、興味深い差が見られます。期待以上の効果を実感している企業ほど、「大部分」あるいは「完全に」置き換わると考える割合が高くなっています。これは、実際に活用している企業ほど、どの作業がAIに適しているかを具体的に理解しているためと考えられます。一方、活用が進んでいない企業では、AIが何をどこまでできるのかの解像度が低く、「部分的な効率化にとどまるのではないか」という認識になりやすいのかもしれません。

成果を上げた企業と、期待未満に終わった企業とでは、成功・失敗要因の認識にも違いが見られます。期待以上の成果を上げた企業は「ユースケース設定」を最も重要な要因として挙げています。一方、期待未満の企業では「データ品質」が最大の課題と認識されています。データ品質を挙げた企業は、そもそも活用可能な状態にデータが整備されていない段階にあり、まず基盤整備がボトルネックになっていると考えられます。一方、ユースケースを重視する企業は、すでに一定の基盤を前提に、「何に使うか」を具体化する段階に進んでいると考えられます。
例えば、「AIで何かできないか」ではなく、「動画編集において音声の6割精度の文字起こしを自動化する」というレベルまで用途を具体化している状態です。AIに限らず、DXでも同様ですが、最終的な活用イメージが描けていなければ、手段そのものが目的化してしまいます。
■最後に
生成AIの活用状況を見ると、成果の差は技術そのものではなく、使い方の設計に起因していることが分かります。ツールとして部分的に導入するだけでは効果は限定的であり、業務プロセスや意思決定の前提を含めて再設計できるかどうかが分岐点になります。重要なのは、「何のために使うのか」を具体的に描き、その前提となる業務の構造を見直すことだと考えます。現在のAIはどれも非常にレベルが高く、文章の執筆や編集、要約だけに留まらず、アイデア出しや壁打ち、リサーチなど文章だけの領域でも幅広く使えます。AI活用のイメージが湧かない場合は、まずはAIを触ってみるところから始めるのが良いと思います。





