標準化は奥が深い
言葉としては簡単にできそうに見えますが、結構奥が深い「標準化」。本日はこの標準化を扱っていきたいと思います。まず標準化とは何か、から始めます。経済産業省の定義から引用すると、「もの」や「事柄」の単純化、秩序化、試験・評価⽅法の統⼀により、製品 やサービスの互換性・品質・性能・安全性の確保、利便性を向上するもの。とあります。
簡潔にすると、モノ/コトを統一して単純化する、と言えそうです。例えばAとBというモノがあったとして、A/Bそれぞれ全く同じなのに別のモノとして扱っていたものをXという名称に統一し、AとBで2個あったものがX1個に単純化される。こう捉えるとよいと思います。
そして標準化の効果は、以下の3つが大枠としてあります。
①品質の安定化・・・業務担当者の業務のバラつきを防ぐ
②業務効率の向上・・・規格化業務は大量に実施する際にコスト(習熟/迷い)がかかりづらくなる
③互換性と整合性の向上・・・異なる製品/サービス群でも一貫性を持って使える、見栄えが整合
ここまでくると、全て標準化すればよさそうな気がしてきます。しかしそうではありません。まず企業や組織が標準化と個別化のどちらを目指すのかの「思想」が大事になってきます。この思想が無いままに標準化/個別化を推し進めると良い結果に繋がりません。
あまりに標準化しすぎて融通が効かなすぎる社内の申請業務・・・
あまりに個別化しすぎて社員全員がそれぞれの思惑や手順で処理する営業活動・・・
どういう場合に標準化/個別化のどちらが好ましいかを整理してみます。
①提供する製品/サービスの組み合わせ
標準化:初心者向き。初心者は何が良いか不明のため、提供者側から勧めるのが望ましくなります。
個別化:上級者向き。上級者は自分で調整/追加がしたく、好みに対応できる個別化が好まれます。
②業務の進め方
標準化:経験少ない社員向き。型を覚えるだけで60点の業務品質を達成できます。
個別化:経験豊富な社員向き。融通が効かない手順よりも特殊要望に対応できることが好まれます。
③組織の拡大
標準化:組織数が増える拡大期向き。社員の戦力化/品質一定化を狙う場合は標準化が望まれます。
個別化:プロ組織向き。少数ユーザーの要望に高単価で対応する場合は完全個別化が好まれます。
④業務の運用
標準化:コトの統一、ルールを浸透させる手間よりも、標準化の恩恵が大、は標準化が好まれます。
個別化:コトの統一、ルールを浸透させる手間よりも、標準化の恩恵が小、は個別化が好まれます。
※個別化の例は、余りに複雑なスパゲッティ状態のルールだったり、標準化の決まりごとが複雑すぎて現場が運用できそうにない、などのケースです
標準化と個別化の特徴をそれぞれ整理すると、一概にどちらかに寄せたほうがよいとは言え無さそうです。企業/組織のビジネスモデル、例えば標準的な製品で一般ユーザーを狙うのか、個別的な製品で富裕ユーザーを狙うのか、によってどちらが最良の選択肢か別れそうです。また、10:0でどちらかに寄せるのも良い結果にならないです。いずれに寄せるにしてもどちらに適用してもいいような「遊び」が必要です。自動車のハンドルの遊びのようなイメージです。