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2026-7-24 世の企業に学ぶシリーズ

成城石井は儲けるを超えた経営を実践

〇はじめに

今回は、高級スーパーマーケットとして確固たるブランドを築いている成城石井の経営について考えてみたいと思います。成城石井は1927年、東京都世田谷区成城で創業しました。成城は日本有数の高級住宅街として知られ、品質に厳しいお客様が多く暮らす地域です。そのような土地で長年支持されてきたことが、現在の成城石井の企業文化を形づくっています。創業以来、食にこだわり、豊かな社会を創造するという理念を掲げ、本当に良いものを、お求めやすい価格で提供することを追求してきました。自社輸入や自社製造、セントラルキッチンなど独自の仕組みを構築し、成城石井でしか買えない商品を数多く生み出しています。一般的なスーパーは安さや便利さで勝負することが多いですが、成城石井は品質と「物語」で選ばれるスーパーです。その経営からは、多くの企業が学べる本質が隠されています。

〇全体の精神

儲けようとは考えない。良いものを追求した結果として利益が生まれる成城石井の経営で最も印象的なのは、利益を第一目的にしていないという姿勢です。もちろん企業ですから利益は必要です。しかし、その利益を直接追いかけるのではなく、お客様が心から満足する商品を届けるという考え方を徹底しています。例えば、世界中や日本中をバイヤーが歩き回り、自分たちが本当においしいと思える商品だけを発掘する。さらに、自社開発や自社輸入によって他社にはない商品を生み出していく。この積み重ねによって、成城石井に行けば何か面白いものがあるという期待感をお客様に提供しています。店頭に並ぶ商品一つひとつにも、生産者の想いや製法、素材へのこだわりがあります。つまり成城石井は、商品を売っているのではありません。その商品の背景にあるストーリーや価値観まで含めて販売しているのです。だからこそ多少価格が高くても、お客様は納得して購入します。価格競争ではなく価値競争。この発想こそが、成城石井最大の強みなのではないでしょうか。

〇サービスのこだわり

売上よりも、お客様満足。現場第一主義を貫く企業では店舗評価=売上となっているケースが少なくありません。しかし売上だけを追うと、「今日はこれを売れ」「この商品を積み上げろ」と本部主導になり、現場の主体性が失われてしまいます。成城石井では、現場の自由度を高めるために、細かなサービスマニュアルではなく「理念」で組織を動かしています。社員は「お客様にとって何が価値なのか」を基準に自ら判断し、それぞれの店舗で最適な売場づくりや接客を実践しています。店舗ごとに客層が異なる以上、一律のマニュアルよりも現場の裁量を尊重した方が、お客様満足につながるという考え方です。これは一見すると非効率に思えます。しかし、お客様に最も近いのは本部ではなく現場です。本部が数字だけを見て判断するよりも、現場の社員が日々のお客様との会話から改善を積み重ねる方が、結果としてサービス品質は高まります。マニュアルではなく理念を共有する。これは、多くのサービス業にも共通する重要な考え方だと思います。

〇品ぞろえのこだわり

効率よりも、本当に良いものを探し続ける。成城石井の最大の特徴は、圧倒的な商品力です。一般的なスーパーでは、全国で売れる商品を大量に仕入れることが効率的です。しかし成城石井は逆です。「全店舗で売れなくても構わない。」「本当に良い商品なら置く。」という発想を持っています。バイヤーはブランド名や知名度では判断せず、自分自身で試食し、生産者と対話し、納得できたものだけを仕入れます。また、卸業者任せにせず、自ら国内外で商品を発掘し、自社輸入や独自開発まで手掛ける体制を築いています。さらに興味深いのは、マーケティングリサーチだけでは良い商品は生まれないという考え方です。アンケートでは、現在存在するニーズは分かります。しかし、お客様自身もまだ知らない新しい美味しさは、数字だけでは見つかりません。だから現場を歩き、生産地へ足を運び、自分の舌で確かめる。この泥臭い活動こそが、成城石井の商品力を支えているのでしょう。当然、効率は悪くなります。一つの商品を探すにも時間がかかります。物流も複雑になります。それでも、他では買えない価値を生み出せるのであれば、その非効率には十分な意味があります。効率だけを追求すれば、どのスーパーも同じ品揃えになってしまいます。成城石井は、あえてその逆を選び続けているのです。

〇企業経営への示唆

利益の追求のためにある標準化や効率化。これは規模が大きくなって利益を出そうとすると必須の要素に思います。しかしながら、画一的な商品やサービスに陥ってしまう罠でもあります。成城石井のような効率よりも価値を狙う経営は、一見手間がかかって短期的に非効率に見えます。しかし利益を目的にするのではなく、社員が主体的に考えて顧客に本当に良いものを届けることを追求する。この積み重ねこそが強靭な経営、長く愛される経営を生み出すのではないかと思います。儲け方を論じることも重要ですが、顧客に選ばれるために何に拘る会社なのかを明確にすることが何より重要なのかもしれません。

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