利益のシミュレーション(変動費と固定費)
事業を行って売上が増えてくると、とにかく売上を増やす考えから、費用とそれに伴う利益がどれだけ残るのかが気になってきます。これは、月次や年度の決算が締まったときに結果論として判明します。しかしあくまで結果論になります。
そこで、事前に利益を想定できないのか、という思想に移ります。その際に使えるのが、「変動費と固定費」の考えです。売上を変化させた時に、費用と利益の変化も同時に見れる、という優れものです。
費用を変動費と固定費に分けることによって、それが可能になります。売上と連動して増減する費用(=変動費)と売上と連動して増減しない費用(=固定費)に分けることで、売上の変化によってどう利益が変わるのかをシミュレーションできるのです。
決算書を作る制度会計上では許されていない形式ですが、以下のように費用と利益を定義します。
売上-変動費-固定費=利益
事業活動で生じる費用を変動費と固定費に分ける場合、具体的には以下となります。
変動費:材料費、外注費、販売手数料、残業代、物流費、派遣/契約社員の給与 など
固定費:労務費、福利厚生、減価償却、賃借料、水道光熱費、交通費、支払利息 など
一度具体的な数字で利益をシミュレーションしてみましょう。
売上が100円、変動費率が30%、固定費が40円の企業を想定します。
<現状> 売上100円-変動費30円(30%)-固定費40円=利益30円
ここから、経費20円(=固定費)を追加で支払い、売上を2倍にしたとします。
<今後> 売上200円-変動費60円(30%)-固定費60円=利益80円
まず変動費は売上の増加に伴って比率(=30%)で増えるので、売上が倍になったときに同じく倍になっています。一方固定費は、経費20円が増えたものの、売上と連動せず経費を追加しただけの費用になっています。こうして、売上が2倍になった時に利益が50円増える(2.67倍)ことが事前にシミュレーションできました。
上記は極めて簡便な定義と式ですが、利益を事前想定する際には是非変動費と固定費の考え方を導入してみてください。