モノを購入する際のコスト構造を知る
我々は日々モノやサービスを購入しています。しかし、購入した飲み物や食べ物、服や家電がどのようなコスト構造で構成されているかを考えることは個人レベルではあまりありません。しかし、企業でモノ/サービスを調達する際は大量に購入することが多くて金額が大きく、購入費用の増減インパクトが業績に与えるものは大きいものになります。そうした場合に、モノ/サービスがどんな費用構造をしていてそれぞれの費用がどの程度の金額比率を構成しているかを理解することは、コスト削減に重要となります。
モノを購入する場合のコスト構造を見てみます。大きく5つに別れます。
①材料費(主原料、副資材、包装材など)
②労務費(人件費、福利厚生費、残業費、手当、退職費など)
③経費(設備、賃料、光熱費など)
④販売費(手数料、運送費、事務用品、役員報酬など)
⑤利益(←①~④にこれを乗せると販売価格)
この5つを足し合わせると1個のモノの価格になります。例えば自販機の缶ジュースの販売価格120円のコスト構造を見ましょう。以下数値は概算です。
■原材料費(果汁/甘味料/香料/水):2円
■包装費(缶/ラベル/パッケージング):11円
■労務費+経費+販売費+利益:98円
■消費税:9円
※利益は、生産数量の増減で設備費の配賦が変化するので一概に言えません(詳細は「原価計算」のブログを参照願います)。
上記の構造を見ると、缶ジュースに入っている飲み物自体の値段は、2円しか要していないことになります。98円の中に含まれる製造設備費や物流費が構成比の多くを占めています。もし缶ジュースを企業として大量に購入する場合、安い原材料で作ってほしいと製造元に依頼しても2円しかないので全体に対する削減効果は薄いわけです。例えば運んでもらう場所を近くにするので物流費をなんとかできないか、といった交渉のほうが削減インパクトは大きいわけです。
これを120円という一式の状態で安くしてくれ、という交渉をするとタダのお願い値引きになってしまいます。どの要素費用が大きい比率か、交渉しやすいか、に論理的にあたりをつけられるようにコスト構造を把握しましょう。