メンバーへの業務の指示の仕方
上長からメンバーへ業務を指示することが一般的な組織では数多くあると思います。しかしながら、指示の仕方がまずくてうまく伝わらなかったり、伝わってもスキル的に実行が難しい、曖昧な感じで伝えてフォローせずに丸投げしてしまう、といったことで期待する成果に至らないケースがあります。こうなると、マネジメント側とメンバー側の双方が気まずい、不満足の状態で終わってしまいます。今回は、そうした状態を避けてお互いが満足した状態で終われるようなメンバーへの業務指示の仕方を扱っていきたいと思います。
①業務指示の具体性はメンバーの能力/経験値に依存する
基本的には、メンバーの特定の領域の能力や経験値が高く信頼できる場合、曖昧な指示や丸投げをしても大丈夫です。例えばエクセルのマクロを構築したことがある経験者に、このCSVファイルからXX分析の結果が出てくるようにマクロ組んで、といった指示はOKです。逆に、エクセル初心者にマクロ組んでおいて、といってもそもそもマクロとは???となってしまい、業務が全く進みません。加えてどれぐらいの納期で終わりそうかも全く読めません。そのため、メンバー側に業務を依頼するときは、そのメンバーがどの程度の能力/経験値を持っているかによって指示の抽象性/具体性を変える必要がある、ということです。ベテランにはXXXのマクロ組んで、ですし、初心者にはまずはエクセル使ったことある?といった質問から入るかもしれません。付け加えると、業務を指示するマネジメント側が、出来上がった成果物の良し悪しを判断できる能力/経験値を持っていることも必要です。マクロの構築を頼んだはいいけれど、マクロって何なの?どう確認すればいいの?、といった状況はNGです。(但し新規事業などで、マネジメント側もメンバー側もなにをどうしたらよいかわからないので、メンバーへの指示が極めて曖昧になってしまうケースはあります)
②最終の成果物/到達点のイメージをメンバーと握る
①と一緒でこちらも非常に重要です。指示された業務がどういう状態になればOKなのか、が抜けている指示が多いです。指示を受けたメンバーが勝手にココまで終わればOKなのだな、と認識し、期日ギリギリで上長に提出したら実は全然違っていて怒られた、ということを経験した方は少なくないと思います。例えば、掃除を例に取りましょう。オフィスを掃除しておいて、と上長から指示されたとします。メンバーは張りきってオフィスのゴミ箱を空にして床をぞうきんで拭いたとします。終わった後、上長に見てもらうと、机の上が散らかっているよ、なにもしてないじゃない。と怒られてしまいました。結果、上長とメンバーがお互い気まずい状態になってしまいました。これは掃除が終わった状態がどこまでなのかを共有できていなかったことが問題です(厳密に言うと掃除する範囲も入りますが)。上長が、机の上のコップやゴミを片付けて何もない状態にしてください、と指示すれば、メンバーは床をぞうきんで拭くようなことは無かったはずです。常に終わった状態を具体的に指示できるわけではないですが、できるだけ到達点のイメージを共有することが重要です。
③依頼する業務やメンバーの理解度/経験に応じて途中の確認ステップを設ける
①②とも関わる話ですが、指示した業務をメンバーが完了するまで全く確認しない、というのは止めておこうという考えです。先ほどの掃除の話を例に取ります。指示を受けたメンバーはゴミ箱と床の雑巾がけを主に念頭に置いていました。掃除を始めて半分ほど終了した頃に、上長に確認を依頼します。そうすると、半分まで終わったところでメンバーは認識の違いに気づくことができました。床の雑巾がけではなく、机の上のゴミ片付けだったのか、と。半分の時間がムダになった、ということはできますが、ポジティブに見ると半分の時間はムダにならずに済んだ、とも言えます。ですので、途中で確認ステップを入れることは認識違いに気づけるため重要な考え方です。但し、単純な業務や、指示を受けたメンバーが何度も業務をこなしており到達点の認識が擦れ違う可能性がほぼゼロであれば、確認ステップは不要です。業務を任せるに信頼できるメンバーであれば尚更不要になります。
メンバーへの業務の指示の仕方の3つのポイントは、明日から実行できる点もありますので是非参考にしてください。