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2026-2-27 経営の読み物

ゴルゴ13に学ぶ、成果を外さないプロの思考法

プロフェッショナル、殺し屋と言えばゴルゴ13を思い浮かべる人もいると思います。漫画自体を実際に読んだことがある方は少ないかもしれませんが、ゴルゴ13という名称は聞いたことがある方も多いと思います。床屋によく置いてあって待っている間にちょっとだけ読んだことがあるな、という方も多いと思います。本稿を執筆している私は全巻とまでは言わないですが、プロとしての姿勢や世界観が好きで好んで読んでいます。今回はそんな世界最高の狙撃手であるゴルゴ13を扱い、ビジネスで活かせる点を探っていきます。

※「ゴルゴ13」は、主人公であるデューク東郷を指す場合もあれば、作品全体を指す場合もあります。
※漫画の表現や各種ソースを元に整理しています。

■物語の骨格

ゴルゴ13は、超一流の狙撃手デューク東郷が人から金銭を対価とした依頼を受け、任務を遂行する過程を描く作品です。物語は基本的に一話完結形式で、毎回新たな依頼と標的が提示され、綿密な準備と実行を経て決着します。次の話には前話と独立した新たな事件が始まる構成となっています。依頼主は要人やマフィア、民間企業など多岐にわたり、任務内容も暗殺・狙撃を中心に、要人護衛、施設破壊、機密書類の奪還、敵地占有など幅広く描かれます。

■世界観

国際情勢・ビジネス・裏社会が複雑に交錯する、世界規模のハードボイルド作品です。舞台は特定の国や地域に限定されず、冷戦構造、企業間競争、諜報戦、テロリズムなど、現実世界の力学を色濃く反映しています。反映しつつも、権力者名や地名は微妙にずらされ、独特のフィクション性が保たれています。また、主人公は超人的な身体能力を発揮して多方面の知識を保持する一方で、完全な無敵の存在としては描かれていません。依頼される任務の難易度は常に高く、成功は綿密な準備と判断力の積み重ねによってもたらされます。この人間の範囲に踏みとどまるリアリティが、作品全体に独特の緊張感や興味深さを与えています。

■主人公(デューク東郷)について

◇特徴
デューク東郷は、その素性の多くが意図的に謎に包まれている人物です。国籍や年齢、過去は公式に明かされておらず、血液型についても確定情報は提示されていません。外見は東洋系とされていますが、それ以上の出自には踏み込まれていない点が、彼の神秘性をいっそう高めています。彼は世界最高峰と評される超一流の狙撃手であり、国際的にはテロリストとして扱われることもある存在です。任務成功率はほぼ100%に近い水準で描かれており、依頼主や関係者からは「ゴルゴ13」「デューク東郷」「G」など複数の呼び名で知られています。

◇性格や信条
〇圧倒的なプロフェッショナリズム
仕事の成功率ほぼ100%という設定の超一流スナイパーです。依頼内容に私情を挟まず、目的達成に必要な最短・最適の行動を取る姿勢が最大の特徴です。無駄な動きを極力排し、事前準備を徹底し、任務完遂を最優先に行動します。依頼前の段階でも標的や環境の情報収集を徹底し、成功確率が担保できない仕事は受けない判断力も持ち合わせています。

〇寡黙で感情を表に出さない
非常に口数が少なく、喜怒哀楽の表現も少なく、表情の変化もほとんどありません。必要最低限のことしか語らず、感情的な反応を見せる場面も極めて限定的です。そのため周囲からは常に冷静沈着な人物として認識されています。会話は交渉や任務遂行に必要な範囲に限定され、沈黙そのものが相手への圧力として機能する場面も描かれます。漫画連載初期は口数が多く描かれており、初期の描写と比較すると、その変化も興味深い点です。

〇完璧主義と徹底した自己管理
身体・精神・装備のすべてを極限まで管理しています。射撃精度や射撃までの判断・動作の速さは人間離れしたレベルに達しており、体調管理や危機管理も徹底しています。さらに、想定外の事態に対する備えが非常に周到である点も特徴的です。武器の整備や弾薬選定、退路設計まで自ら統制し、作戦全体を一つのシステムとして設計する思考が特徴です。偶然ではなく、準備によって勝利を引き寄せる人物として描かれています。

〇絶対的な職業倫理(プロの掟)
独自のプロとしてのルールが存在します。代表的なものとして、契約は必ず守る、依頼内容以外のことは行わない、子どもや弱者を無意味に巻き込まない、報酬に見合う仕事しかしない、といった点が挙げられます。一度引き受けた契約は外部圧力や情勢変化があっても翻さず、信用そのものを最大の資産として扱っています。このように、単なる殺し屋ではなく、強い職業倫理を持つ者として描かれています。

〇常に冷静沈着に見られがちだが臆病
外見上、極めて冷静沈着な人物として描かれています。しかし彼自身はプロの条件の一つとして「臆病さ」を挙げています。ここでいう臆病さは弱さではなく、リスクを過小評価しない慎重さを意味します。危険を常に先読みし、最悪の事態を想定して準備を重ねる姿勢を持っています。安全が確認できない状況では無理に踏み込まず、撤退や再計画を選択する現実的判断力も彼の強さの一部です。

〇他者との交流を好まない
私的な人間関係を極力持たない孤高の人物です。任務外での雑談や情緒的な関係構築には関心を示さず、常に一定の距離を保ちます。職業上のリスク管理の側面が大きいと考えられます。余計な接点を増やさないこと自体が、生存確率を高める合理的行動として一貫しています。一方で、任務遂行に必要と判断した場合、他者との交流を躊躇しません。依頼主、仲介者、協力者、などと、必要十分な範囲で実務的にやり取りを行います。

〇相手の属性で差別や判断を行わない
相手の肩書、年齢、性別、国籍といった属性によって対応を変えない点が挙げられます。判断基準は一貫して任務に資するかどうかであり、社会的地位や表面的な属性に左右される描写はほとんど見られません。作中では、国家元首クラスの権力者に対しても対等に会話し、逆に無名の協力者に対しても必要な敬意と対価を払うなど、極めてフラットで実務的な関係構築を行います。

〇自衛意識が高い
自身に危害を及ぼす可能性がある存在を軽視せず警戒します。象徴的なのが、背後に立たれることへの警戒です。背後を取られる状況を本能的に危険と認識し、不意に背後へ回り込まれた場合、反射的に相手を殴り飛ばしてしまいます。これは長年の実戦経験によって身体に刻み込まれた生存反応として描かれています。相手からの依頼内容を聞く場面でも、分厚い壁や太い柱を背にして位置取るなど、死角を作らない配慮を徹底しています。また利き手を不用意に相手へ預けることを嫌い、原則として握手を行いません。そうした日常的な所作にすら異常なまでの警戒水準が表れています。

■ビジネスでの活かし方

ここまでがゴルゴ13の物語と世界観、主人公であるデューク東郷の特徴と信条でした。現実の世界でこのような超人的な人物がいるかは疑わしいですが、幾つかビジネスでも模範としたい考え方があります。重要と考える4つに絞って解説していきます。

①プロ意識
ゴルゴ13の強みは、成果から逆算して最短距離で準備と実行を組み立てる点にあります。ビジネスでは「頑張ったか」ではなく「成果が出たか」を基準に思考と行動を設計する姿勢に置き換えられます。目的の明確化、事前準備の徹底、不要な作業の排除を習慣化することで、アウトプットの再現性と信頼性を高めることができます。

②職業倫理
彼は契約範囲を厳密に守り、依頼外の行動を取らないという一貫したルールを持っています。ビジネスでは、スコープ管理と期待値コントロールの徹底として応用できます。約束した価値を確実に提供しつつ、範囲外の要求には安易に応じない。この線引きを明確にすることで、長期的な信頼と適正な対価の確保につながります。

③リスク管理
ゴルゴ13の「臆病さ」は、最悪シナリオを前提に準備する高度なリスク思考です。ビジネスでは、楽観的な計画を立てるだけでなく、ボトルネックや予想される失敗要因、数字の下振れ要因などを事前に洗い出す姿勢として活かせます。重要案件ほど、代替案・緩衝策・撤退ラインを設計しておくことで、環境変化への耐性と意思決定の速度が大きく向上します。

④フラットな関係性
彼は肩書や立場ではなく、役割と能力で相手を評価します。ビジネスでは、社内外の序列に過度に引きずられず、この人は何に価値を出せるかという機能ベースの視点を持つことに相当します。先入観を排した対等な対話や関係性は、有益な情報獲得や協力関係の構築を促進し、成果の確度や組織の実行力を高めます。

この4つのうち、どれも重要ではあるのですが、敢えてビジネスの世界で優先的に挙げられないものの肝な考え方は、「リスク管理」だと考えます。プロ意識は誰もが重要だ、と感じるものです。職業倫理もしかり。そしてフラットな関係性は、組織の中に身を置いて時を経ると、意外と大事だなと思う方も多いのではないでしょうか。一方でリスク管理。この4つの中では一番優先順位が低そうです。多くの現場では、成果創出の議論に比べて、失敗時の設計は後回しにされがちです。最悪を想定する/ダメだった時を想定する、そしてその対応を事前に考えるといった行為は、真っ先に取組もうと思う方は少数なのではないでしょうか。

ゴルゴ13の名言にこういうものがあります。プロとしての条件を聞かれた際に応えたあまりにも有名な言葉です。

「10%の才能と20%の努力 そして30%の臆病さ。 残る40%は 運だろう・・・な」


努力と才能の比率が一般的に考えられるものよりも低いのではないでしょうか。そして運の比重が高い。漫画の描写で見ると、圧倒的な技術やスキル、身体能力で依頼を遂行しているように見えますが、本人は自分でコントロールできない運が最も強いと述べています。これらよりも意外なのが、「臆病さ」という項目です。すべての項目が100%になるような条件の比率を聞かれた際、普通は努力と才能と運の3つで分配することが多いように思います。しかし、臆病さという次元が異なった要素が入っており、しかも30%の比重を占めている。ビジネスの世界と死ぬか生きるかの世界では性質が異なるのでは?という声が聞こえてきそうです。しかし、ビジネスにおいても徹底的な細部への想像力と慎重さ、この能力が卓越しているからこそ再現性が高く土台がしっかりするということではないでしょうか。

弊社の支援においても、「リスクへの感度」は中核的な設計思想と位置づけています。プロジェクトを進行する際に、以下のことを考えています。


・スケジュールが上手く進まなかった時のバッファ考慮
・KPIが想定を下回った時の代替策や緩衝策の検討
・優先的な施策が思うように機能しない場合のプランB
・お互いの期待値が擦れ違っていた時のための事前擦り合わせ会議の実施


いずれも良くないことが起こるとしたらどんなことか?を解像度高く想像し、それが起こった時にどう対処するか、を考え抜いています。

いかがだったでしょうか。狙撃の名手とビジネス。あまり関係が無さそうな両者ですが、色々と整理してみると共通点が多くビジネスに活用できそうな考え方がありました。特にリスク管理の点は真っ先に取組むものではないものの、考え方自体は取り入れられるものです。是非実践してみてはいかがでしょうか。

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