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2026-3-14 お知らせ

コストマネジメントのレベルを上げる

以前のブログでは、直接材に比べて間接材のほうがコスト削減の効果を生み出しやすい、という点について取り上げました。今回もテーマは間接材ですが、そこに組織のマネジメントという観点を重ねて考えてみたいと思います。これまでのブログでも、組織運営やマネジメントについて部分的に触れてきましたが、本稿ではそれらをもう少し俯瞰的に整理しています。コスト削減というと、具体的な施策やテクニックに目が向きがちです。しかし今回は、そうした個別の手法ではなく、より引いた視点からコストマネジメントを見てみたいと思います。企業の競争戦略としては、一般にコストリーダーシップや差別化戦略が語られます。ただ、ここで扱うのはそうした戦略レベルの話ではありません。より実務的で、しかし見落とされがちな領域です。多くの企業を見ていると、間接材コストの管理がうまくできている会社と、そうでない会社の間には、想像以上に大きな差があります。そしてその差は、個別の削減施策の巧拙というよりも、コストをどのように管理するかという「マネジメントのレベル」によって生まれていることが少なくありません。本稿では、間接材コストを対象に、企業のコストマネジメントを俯瞰的に整理してみたいと思います。

■コストマネジメントの主要項目

① 専門部署

〇組織
間接材コストを管理する専門部署(購買部・調達部など)の有無
〇権限
申請に対する承認・決裁、否認や条件見直し、契約廃止、条件交渉などの権限の有無
〇配置
担当者の配置転換、複数名での取引先対応、契約条件の複数人把握
〇管理範囲
契約内容、支払金額、単価、仕様条件の把握範囲(事業部単位かグループ全体か)
〇購買体制
集中購買・分散購買の設計、購買基準の有無、共同購買の活用

② 取引先企業の管理

〇支払管理
取引先ごとの支払金額、過去実績データ、契約内容の把握
〇取引管理
定例会による改善議論、取引先評価、単価や料金根拠の把握
〇原価理解
取引先の原価構造の理解、原価低減施策の実施
〇見積管理
複数社見積、海外ベンダーの探索、見積形式の標準化
〇契約管理
契約更新前の見直し、定期的な価格改定、契約期間の設計

③ 組織環境

〇評価制度
原価低減活動を評価・報酬制度に反映
〇情報システム
支払い管理・購買管理を行うシステムの導入

■コストマネジメントのレベル感

① 専門部署

低い状態
各部署が個別に発注を行い、購買やコスト管理の機能が組織として存在しない状態。取引条件や契約内容が部署ごとに異なり、交渉力が分散するため、同一サービスでも価格差が生じやすい。取引先企業との交渉や発注の権限は事業部側で、管理部署は事後処理中心に留まります。

高い状態
専門の購買・調達部署が存在し、発注や契約の権限を集約して管理している状態。契約条件や単価の標準化、相見積の徹底、取引先の評価などを組織的に実施でき、企業全体として交渉力を持つ。

② 取引先企業の管理

低い状態
どの企業にいくら支払っているのかが体系的に把握されておらず、仕様や単価、契約条件も不透明な状態。過去の関係性や慣習による相対取引が中心になりやすい。

高い状態
取引先ごとの支払い履歴や契約条件をデータとして管理し、単価や仕様、さらには原価構造まで把握している状態。複数社比較や条件交渉を行い、継続的なコスト改善が可能になる。

③ 組織環境

低い状態
コスト削減活動が評価制度と結びついておらず、担当者のインセンティブが弱い状態。また支払い管理が手作業で行われ、データ活用が難しいケースが多い。

高い状態
原価低減が人事評価や報酬制度に反映され、組織として取り組む動機付けが存在する状態。さらに購買・支払い管理システムが導入され、支払いデータや契約情報を横断的に分析できる。

■マネジメントレベル向上に向けた考え方

間接材コストの管理体制を高度化するためには、経営層による強い意思決定と、組織としての明確な統制が欠かせません。マネジメントレベルが低い組織では、コスト管理が現場担当者に委ねられ、実質的な決定権も現場側にあります。その結果、運用が現場の都合に合わせて最適化され、全社最適の観点から見直される機会が少なくなりがちです。また、創業から長い年月が経過している企業ほど、過去の慣行やルールが見直されないまま残っているケースも少なくありません。本来は、常にゼロベースに立ち返り、運用を見直していく姿勢が求められます。しかし現場担当者の立場からすれば、業務や責任が増える可能性のある改善活動には、必ずしも積極的になりにくいのが実情です。こうした状況を踏まえると、専任の組織を設けたうえで、購買に関する新たなルールやガイドラインを整備し、コスト削減の目標設定と進捗管理を全社的に行う体制を構築することが重要になります。これにより、個別部門任せではなく、組織として継続的にコストマネジメントを推進していくことが可能になります。

■コンサル支援の現場から

コスト低減活動を支援していると、間接材の購買はどうしても片手間の業務として扱われているケースが多いと感じます。人手が限られている中では、本業を滞りなく進めることが最優先となり、購買の見直しやコスト低減活動まで手が回らないという事情も少なくありません。その結果、取引条件や契約内容が長年見直されないまま続いているケースも見受けられます。我々がコスト低減の支援を行う場合、多くはプロジェクト型での取り組みになりますが、一過性の削減に終わらないことを重視しています。そのため、専門部署の設置や、購買に関するルール・ガイドラインの整備といった、継続的に機能する仕組みづくりにも目を向けます。間接材の購入は、企業活動が続く限り発生するものです。だからこそ、単発の成果ではなく、継続的にコストを管理・改善できる体制が重要になります。もっとも、最初から大きな仕組みを整えることは簡単ではありません。まずは過去1年程度の支出を、取引先別・品目別に整理してみることから始めてみてはいかがでしょうか。支出の全体像を可視化するだけでも、これまで見えていなかった論点が浮かび上がってくることがあります。

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