「経営コンサルって、実際には何をしてくれるの?」そう疑問に思われる方はとても多いです。飲食店、衣服、家電、車、住宅など、形がある商品であれば購入後の効用はすぐにわかります。整体や美容院、歯科といったサービス業も、何となく体験がイメージできるでしょう。税理士や弁護士などの士業も、ある程度は仕事の内容が想像できます。でも、「経営コンサルタントが何をする人なのか」は、意外なほど知られていません。そのため、興味はあっても「頼みにくい」「怪しく見える」と感じてしまう方もいます。そこでこの記事では、経営コンサルティングの典型的な進め方について、できるだけやさしく、丁寧にご紹介していきます。
コンサルティングは“形のないサービス”です。まず前提として、経営コンサルティングはサービス業です。形のある“モノ”ではなく、情報・アドバイス・ドキュメントといった無形の価値を提供します。
例えば…
・銀行提出用の事業計画書を一緒に作成する
・M&Aの際に財務や事業リスクを分析して報告書を作成する
・月1〜週1ペースで経営指標を見ながらアドバイスを行う顧問
といった支援があります。
提供するものの多くは、文書か口頭による助言です。イメージとしては、「現状の課題を明らかにし、改善策を一緒に考えていくパートナー」と捉えていただければよいと思います。
実際の支援の流れは以下のようになります。経営コンサルティングには明確な法律やルールがあるわけではありません。そのため、提供の仕方は企業やコンサルタントによって千差万別です。とはいえ、よくある典型的な進め方をご紹介します。
① 最初に:支援の「枠組み」をすり合わせ
・何をゴールとするのか(得たい成果、理想の状態)
・現在抱えている課題は何か
・どのようなアプローチで解決していくか
・スケジュールやチーム体制、費用感
まずは、こうした「支援の設計図」をお客様と丁寧にすり合わせします。
(※実際には契約締結前に決めておくことが多いですが、説明の流れ上、ここでご紹介しています)
② 会議打合せの実施
支援がスタートすると、会議打合せを行っていきます。業務改善を例として記載します。
・現場担当者(例:経理・総務など)から業務内容を詳しくヒアリング
・実際のフローや資料を確認しながら課題を整理
・必要に応じてワークフローを図式化
・課題に対する解決策を協議
会議はオンラインや対面で行われ、基本的には週1回や月1回などのペースで継続します。
③ 会議 → 準備 → 会議の繰り返し
その後は、「会議とその準備の繰り返し」です。この中で、分析を深めていったり、施策の具体化を図ったり、次の改善案を探したり、などと言ったことを繰り返していきます。
コンサル側:資料作成、分析、提案の準備
お客様側:社内情報の提供、社内の調整や問い合わせ、施策の実行
必要に応じて、ワークショップ形式でのブレインストーミングや、幹部合宿などの通常の会議打合せではない形式で実施されることがあります。
④ 途中共有:経営層との進捗確認
定期的に、経営陣や管理層との打合せを開催します。現場から得た情報や進捗を共有し、現場では判断できない意思決定や、活動の方向修正に役立ててもらうためです。
⑤ 最終:成果の確認と「残課題」への対応
支援期間の最後には、「報告会」を設け、初期に設定したゴールが達成できているかを一緒に確認します。報告会自体を設けないケースもあります。成果が出ていればそのまま終了となり、残された課題(=残課題)があれば、延長して引き続き支援するか、一旦終了するかを相談します。この「残課題」が出るのはむしろ自然なことで、当初想定していなかった課題が出てきたり、分析や調査のタスクに想定以上に時間がかかったりするケースがあるからです。すべてが最初の計画通りに進むとは限りません。
なお、数値目標は「目指すもの」であって「保証」ではないという点も押さえておきたいです。支援を開始したときの目標が「売上◯%アップ」や「コスト◯円削減」など、定性面ではなく、数値で設定されることもあります。コンサルタントがこの成果を100%保証するものではありません。コンサルタントは達成に向けて全力を尽くしますが、現場の制約や新たに判明する課題などによって、予定通り進まないこともあります。これは、どれだけ優秀な先生でも、「全員を東大に入れます」とは言えないのと同じです。とはいえ、現実的かつ実現可能な目標を設定し、それに向かって着実に進めていくのが経営コンサルティングの基本です。
まとめ:まずは“お試し”でも構いません
ここまでお読みいただくと、経営コンサルティングの進め方について少しイメージが持てたのではないでしょうか。とはいえ、形のないサービスである以上、実際に体験してみないとわからない部分があるのも確かです。だからこそ、最初は短期間や小さなテーマでも構いません。「どんな人か」「どんな支援をしてくれるか」「自分に合うか」を見極めた上で依頼されることをおすすめします。